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【中国商標】不使用取消審判請求時の提出書類要件が厳格化される

 中国では、商標出願の審査において先行商標が引用された場合に、意見書により拒絶理由を覆すことが一般的に難しく、また、コンセントレターを提出しても併存登録が認められることは少ないことから、出願商標を登録させるため、または悪意による商標登録を取り消すために、不使用取消審判がしばしば利用されています。

 従来、不使用取消請求を受けた商標権者の側が、使用の証拠を提出する立証責任を負ってきたところ、ここしばらくの間、CNIPAは、不使用取消審判の受理の可否を決定する方式審査の基準を厳格化していました。過去6ヶ月間、CNIPAは、不使用取消審判請求に対して拒絶理由通知を発行し、審判請求人に追加情報を提出するよう求めてきました。

 そして2025年5月26日、CNIPAは、不使用取消審判を請求する際の要件に重要な変更を盛り込んだ改正実務マニュアルを発行し、その中で、正式に、不使用取消審判の請求人に、対象商標の不使用の立証責任を一部負担するよう求めています。今後、不使用取消審判の請求人は、積極的に調査を行い、対象商標が使用されていないことを示す証拠を審判請求時にCNIPAに提出する必要があります。

 同マニュアルでは、以下の種類の証拠が、不使用の証明に役立つものとして挙げられています。

○商標権者についての情報、例えば、事業範囲等
○種々の手段により得られた調査結果、例えば
  ・業界特化型プラットフォームまたはウェブサイト
  ・商標権者の公式ウェブサイト、WeChat公式アカウント及びECプラットフォーム
  ・市場調査(アンケート、インタビュー、観察など)
  ・工場や事業所での現地調査等


 上記運用の変更は、一つの登録商標に対して、繰り返し不使用取消審判が請求される等により、不使用取消審判の請求件数が急増し、商標権者とCNIPAの両方の負担になっている問題に対応するものです。


ソース:
Deacons News & Insights  6 June 2025